タイ料理に葉が欠かせない柑橘「マクルー」。
このゴツゴツした皮。日本語で「こぶみかん」とは良く言ったものです。タイ語では「มะกรูด(マクルー)」と言いますが、こちら、実以上に葉の「バイマクルー」が有名です。
つい先日、観察日記を書いたばかりのこちらです。そう。この木をうまく育てると、「こぶみかん」が実ります、おそらく。
このこぶみかん、葉はもちろん、この果実も非常に良い香りがします。果肉は酸味が強く、オレンジのように食用にはできませんが、その果汁はレモンやスダチ、柚子のように使うことができます。
こぶみかんの使い方①~「皮」
さてこのこぶみかん、どこをどう使うかというと、まずは皮。
日本の柚子であれば刻んだ皮をお料理に添えてそのままいただいたりしますが、こぶみかんをそのように食すタイ料理には未だ出会ったことがありません。私が知るタイ料理におけるこぶみかんの皮の使い方といえばこちら。
これらをすべて石臼で叩き潰すとレッドカレーペーストになるのですが、
その材料の一つとしてこのこぶみかんの皮が入るのです。手持ちのタイ料理本を見たところ、
- グリーンカレーペースト
- レッドカレーペースト
- ゲーンパーペースト
- パネンカレーペースト
- クアクリング(南部のスパイシードライカレー)ペースト
これらの材料に「こぶみかんの皮」、とありました。
他にどんな使い方をするのかしら…と思い調べてみると、かなり薬効が高いようで、エッセンシャルオイルとして使われたり、漢方薬のような使われ方をすることもあるようです。
こぶみかんの使い方②~「果実&果汁」
こぶみかんの果汁や果実を使うタイ料理としてまずご紹介したいのはこちら、「ゲーンテーポー」です。空心菜と豚バラ肉で作るレッドカレーですが、このゲーンの酸味付けにこぶみかんが使われます。
本場タイのレシピを見る前は、果汁を絞って入れるとか、せめてスライスしたものを何枚か加えるといった使い方を想像していたのですが、割と多くのレシピが半分に割ったマクルーを丸っと入れていてびっくり。
ほら、これも丸ごと入ってる(笑)。
お次はタイに古くからある宮廷料理、「センワークン/แสร้งว่ากุ้ง」。こちらにはマクルーの果汁が入ります。
こちらのタイトルには「200年前の宮廷料理」と書いてあって、内容はこの料理のルーツの説明になっています。とても興味深い。…のですが、そこを詳しく掘り下げるのは、いつかこのセンワークンをご紹介するとき…にします。
他にもいろいろありますが、きりがないのでここまで。ただ、残念なことに日本でこのフレッシュなこぶみかんを手に入れるのは容易ではありません。結果、本来であればこぶみかんの果汁を使用するタイ料理のレシピは、日本で紹介される際には、レモン汁やライム汁に置き換えられてしまっています。
フレッシュなこぶみかんが手に入ったら
タイ食材店でも滅多にお目にかかることのないこぶみかん。この写真にうつるこぶみかんさんとも、東新宿にあるアジアスーパーストアーで偶然2021年の夏に出会ったきり、その後一度もお目にかかっていません。
そんなこともあろうかと思って…いたわけでは決してないのですが、このこぶみかんの皮を上の写真のように剥いて
大事に大事に冷凍保存してあります。そう頻繁にカレーペーストを作るわけではないので、1年半経った今もまだ在庫ありです。でも香りがポイントのこぶみかん、そろそろ新しい皮を入手したい。またどこかで出会えたら良いな…と思う今日この頃です。
ちなみに、果汁は先にご紹介したようなタイ料理を作るのがベスト!ではありますが、レモンをぎゅっと絞るようなお料理にレモンの代わりに使ってみたり、あるいはもっと簡単に、素敵な香りと酸味を生かしてお酒を割って飲む際に加えてしまいましょう!美味しいよ。
最後に余談。「こぶみかん」と入力して、うっかり変換キーを押してしまうと「子踏み感」と出るマイパソコン。私は普段何を入力して、マイパソコンはそれをどう学習しているんだろうか。