スリランカ式ポークカレーは奥深い味わい。

インド料理とタイ料理では調味料も食材も共通点はそう多くありません。マレー人の文化が混在している南部に行くと、ターメリックを良く使い、黄色い料理が多々見受けられます。ところがです。これがスリランカ料理となると、「ランぺ=バイトゥーイ(パンダンリーフ)」がカレーに入っていたり、「ラトゥルース=ホムデン」がおかずに紛れ込んでいたりと、タイ料理に欠かせない食材が使われるのです。元々はインド料理に端を発して勉強し始めたスリランカ料理ですが、タイ料理との共通点を見つけてさらに興味が沸いた次第。そんなわけで昨日、白山でスリランカ料理店を営み、料理教室も主宰している古積由美子先生の元へ行って参りました!

スリランカのポークカレーは黒くてスパイス感たっぷり!そして激ウマ!

これらのスパイスが全部入ります!

インド料理にももちろんスパイスをたくさん使った料理はありますが、スリランカの料理、特に今回のカレーにはスパイスが全部で7種類以上入ります。「以上」というのは手前に写る「カルクドゥ」というこのミックススパイスに様々な種類のスパイスが入っているため。これを見ただけでもう美味しそうな予感しかありません。

チリパウダーは炒めてから投入します。

カレーを黒く仕上げるために、チリパウダーは炒めてから加えます。先に紹介したカルクドゥなるミックススパイスも様々な材料を焦げる寸前まで炒ってから挽くとのこと。これがスリランカカレー特有の色と香りを生み出します。

オールイン土鍋。タイ料理でもよく使うパンダンリーフが入っています。

そしてなんと、肉とスパイスを全部鍋に放り込んじゃいます。インドカレーの場合、オイルを熱してホールスパイスを炒め、そこに玉ねぎを加えて焦げ茶色になるまで炒め、さらにはトマト、その水分が飛んだところでパウダースパイスを加えてカレーのベースを先に作り、肉は後入れ…ってな手順で作ることが多いのですが、何と今回習ったカレーにその「炒める」という作業は存在しません。ではどうするか。

手でまぜまぜ。

スパイスや塩が全体に行き渡るようよく混ぜたら…

ひたひたってこれぐらい。

ひたひたの水を加えて煮込むだけ。

仕上げに入ります。

蓋をして小一時間ほど煮込むと、水分がなくなり、肉から出た脂がほとんど、という状態になります。ここまできたらカルクドゥを投入。このまま食しても良いのですが、塩気が強めゆえ、今回は最後にココナッツミルクを加えてまろやかにします。

ココナッツミルクはパウダーをお湯で溶いたものを使います。

ココナッツミルクはさっぱりと仕上げるために、缶入りではなくパウダーをお湯で溶いたものを使います。このココナッツミルクが温まればポークカレーの完成です。

かぼちゃのマスタード煮にもパンダンリーフが入ります。

こちらもやっぱりオールイン土鍋。

手の込んだ料理を作りたくなる時はありますが、基本簡単がいい…が本音。こちらもそんな私にぴったりのおかずです。

全体をよく混ぜてから火にかけます。

南瓜、玉葱にニンニク、カレーリーフとパンダンリーフ、各種スパイスと塩を全部鍋に入れ、ココナッツミルクを入れて煮るだけ。

ホクホクに美味しくできた!

水気が無くなり、南瓜に火が通れば完成。ポイントは最初、煮汁が吹きこぼれないよう鍋を時折見る、ぐらいでしょうか。とっても簡単。

パリップはテンパリングタイプのため、炒め作業が入ります。


こちらも基本、材料はオールイン土鍋。

パリップはスリランカ式の豆の煮物、といったところでしょうか。基本はやはり一つの鍋に材料を全部入れて煮るだけ。

勢いあまって豆にお山ができました。

火にかけたらあまり触らず、豆がぽってりと煮えたら最後にココナッツオイルでテンパリングしたスパイスと塩を加えればOK。

炒め中。

玉ねぎは縁が茶色くなるぐらいまで炒めます。それを先の豆の鍋に。

全体によく行き渡るように混ぜます。

テンパリングした食材と調味料の香ばしさと塩気がプラスされ、味が一気に変わる瞬間です。

スリランカのごはんのとも、「サンボル」2種。

これまた切って和えるだけ、の手軽さ。

スリランカ料理には「○○サンボル」なるものがたーくさんあります。「和え物」や「ふりかけ」と日本語訳されることもあるお料理。

昨日のレッスンで定番の「ポルサンボーラ」と「水菜のサンボーラ」を習いました。どちらもすごく簡単です。

私の中での密かなるメイン「茄子のモージュ」!

茄子は焦げ茶色になるまで揚げます。

先月生まれて初めて食した「茄子のモージュ」。その美味しさに感動し、昨日のレッスンはこれ目当てで受講したと言っても過言ではありません。これを自分でも作りたかった。

この料理に「ホムデン」を使うのです。

茄子を揚げ終わったら、最後に「ラトゥルース」も素揚げ。これがタイ料理で言うところの「ホムデン」です。この紫小玉葱は味と風味が濃いのです。それだけに食材として入るとそのお料理がぐっと美味しくなります。

こちらが「茄子のモージュ」の美味しさのタネ。

最後に、合わせ調味料?合わせスパイス?と和えれば完成。

お初のココナッツビネガー試飲。

このモージュ用の合わせ調味料には「ココナッツビネガー」が入ります。世界各国、どこに行ってもご当地食材を使ったお酢があるもんだ。こちらのココナッツビネガーは酸味がおだやかで、味もごくあっさりとしたものでした。

合えるだけ。

この茄子のモージュはもちろん作り立てをいただいても美味しいのですが、数日経つと味が馴染んでより美味しくなるのだとか。こういう料理好きです。

幸せの実食。

習った料理は全部で6種類。贅沢!

出来立てのスリランカ料理をゴハンのまわりに盛り付けて、早速いただきます!まずはメインのポークカレーから。脂多めの豚肉に、内心恐れおののいていたのですが(豚の脂身苦手)、このカレーでは美味しくいただきました。グニュグニュを通り越してトロリと口の中で溶けるぐらい柔らかくなった脂身は、うま味のカタマリ!ソースのスパイシーさも相まって、本当に美味しくいただきました。

サンボーラ2種。

以前、「ポルサンボールテルダーラ」なる炒めたタイプも食べたことがあるのですが、個人的には今回の生の方が好きです。いや。絶対的に好き。水菜の方は他の野菜を使ってもいいそうなので、個人的には豆苗や芹で試してみたいところ。

豆の煮方はぜひマスターしたい!

最近南瓜料理を美味しく仕上げられない…と悩んでいたのですが、これならうまくできそう!テンパリングのおかげで味わい深く仕上がったパリップも美味。

ピントがイマイチだった。。。

茄子のモージュは「これをまた味わいたかった!」と一人感動に震えていました。そういえばこのお料理、砂糖が少量入るのですよ。インド料理では砂糖を使ったことがないのですが、スリランカではたまーに使うのでしょうか。とにかく甘味、酸味、辛味の三味が一体となったその美味しさはこれまたタイ料理と共通するところ。なれどその味わいはやっぱり別物なのです。美味い。茄子のモージュ、美味い!

すっかり気に入って我が家にも常備するようになったヤシ蜜。

最後にはヤシ蜜をたっぷりかけたヨーグルトとお菓子と紅茶も出していただいて、もう至福以外のなにものでもない時間を過ごしました。

スリランカのお菓子も美味しいなぁ。

料理教室で様々なお料理を習ってきましたが、その日習ったすべてのものを家で再現したい!と思うことは滅多にありません。が、昨日のレッスンはその滅多にない回となりました。全部美味しい!全部おうちで作りたい!

6品中4品を早速復習、の巻。

夜に一人茄子を揚げる女。

茄子のモージュは時間が経つと味が馴染んでより美味しい!ということで、帰宅後即、作り始めました。

お土産にいただいた「カルクドゥ」

そしてお土産にいただいた「カルクドゥ」を使ってポークカレーも。

早朝5時からポークカレーを作る女。

そうして仕上がりました、復習4品+いろいろ茸のスパイシー炒めを加えた、自家製スリランカプレートがこちらです!

(お皿)ARABIA Gunvor Olin-Grönqvistデザイン 1970年代製造
(カトラリー)unknown
(カトラリーレスト)田中俊介 銅製しっぽざら

私によくありがちなことですが、料理教室で習った品を復習…といいながら、今回も4品中3品は初回からアレンジしてしまっています。

スリランカ式ポークカレー。豚バラ肉はスペアリブに。
水菜のサンボーラは芹のサンボーラになりました。
さらにかぼちゃのマスタード煮はサツマイモで復習。
茄子のモージュ、好きです。

そしてこちらが唯一レシピに忠実に作った「茄子のモージュ」。一晩おいて味が馴染んだそれはもう絶品。我が家のチリパウダーがどうも辛めらしく、先生のところで食べたそれよりも辛口モージュになってしまいましたが、それはそれで美味しく、満足です。

見てください、この柔らかさ。

臭みがすっかり消えて、うま味のかたまりとなった豚肉の美味しこと美味しいこと。そんなわけで、今週のお弁当はもう毎日このメニュー確定です。来月のレッスンも楽しみだな。